日記 2024年2月25日〜3月3日

 

2月25日(日)

韓国語の勉強を始める。単語や文法を学ぶどころか、まずはハングルの書き方と文字に対応する発音の確認をひたすら繰り返していく作業。わたしはいま韓国で生まれた赤ちゃんって気持ちでいこうと決める。

中学高校が英語系で、大学ではフランス語専攻でそれぞれがっつり勉強して(仏語では落ちこぼれたし全部忘れたけど)、言語を学ぶプロセスの3回目にして、なんかこのわからなさとか勉強の進め方も慣れたもんやなって感覚が初めてあった。

新しいことを始めるときに、このわからなさ知ってるわ〜と思って余裕をかませてるの、人生経験の賜物としか言いようがなくてかっこいい。

 

 

2月26日(月)

夜、実家に帰って父と母とビールで乾杯する。ふたりともお酒好きで、わたしがまだビールを飲み終わらん間に、母はつぎワインいくわと出してきて、日本酒オタクの父は燗を飲み始める。で、ふたりとも、あんた次なに飲むんってわたしに訊きながらもうそれぞれの酒を注いでわたしのところに置いてくるから、手元に酒が3つもある状態になる。

 


2月27日(火)

免許をとってもう2年になるので初めての更新へ。門真の教習所へ行くのに、古川橋の駅からのバスがちょうどいい時間になくて、20分くらいを歩く。ここ最近ずっと天気が悪かったのと、日が出てる時間も仕事で屋内にいたりして久しぶりに太陽に当たった気がする。ずっと気持ち的にじめっとしすぎてそろそろ頭おかしくなりそうと思ってたから、かなり寒かったけど、やっぱり日に当たりながら歩くの好きやなと思い出した。

今日みたいに全然知らん場所やと気持ちもふわふわして、これが自分にとっての見慣れた地元の景色って人もおるんやなと考えたりする。

2時間の講習を受けて新しい免許をもらって、帰りは10分ぐらい待ったらバスもあったけど、やっぱり歩いて戻る。

 


2月28日(水)

仕事の関係の人に駅弁の高級あなごめしをいただいたので持って帰って晩ご飯に食べる。さあ食べようかというときに、駅弁特有のちょっと短めのしっかりした割り箸がついてるのに気がつく。いつももらった割り箸は使わずに貯めてるけど、旅の気分を思い出せる気がして、用意してた自分の箸をしまってそっちを使う。

 


2月29日(木)

昼から2月最後のボイトレへ行ったけど、ヘアアイロンの電源を切ってきたか気が気じゃなくて、全く集中できんかった。

鍵閉めたっけ?とか火消したっけ?とか、毎日の一連の動作になっててやったか覚えてないことで実際にやってなかったことないし、悪い予感ほど現実に起こったりするから考えんとこうと思いながらも、気になる。

最悪、家燃えても保険入ってるし、物が燃えてもまた買えばいいしとかいろいろ心で言い訳しながら、でもよく考えたらわたしの起こした火事のせいで人が死ぬこともあるんやって気づいて以降、岩崎宏美の「ロマンス」を歌いながらずっと上の空やった。

で、終わって急いで帰ったけど、もちろん電源は切ってあった。二度とこんな思いしたくない。

 

 

3月1日(金)

ちょっと久しぶりのひとつ下の女の子と会う。ちょうど同じぐらいの時期にStray Kidsにはまって、語るか〜とか言いながら集まって、まあ実際ちょっとしたらお互い近況報告でも、と思ってたら、飲みながら5時間ぶっ通しでそれぞれの好きなメンバーとかお気に入りの動画について喋ってしまった。このオタクハート(一人が片手でハート作ってるのに、もう一人は👍の手のあのポーズ)してる動画かわいすぎるねんなあとか、ずっとそんなこと。

別れ際の交差点で、お互いが見えんくなる直前にじゃあね!ってハート作ったら、ばっちりグーサインで返してきて、しばらく一人で笑いながら歩いて帰った。

 


3月2日(土)

韓国語を覚えるのに、数年ぶりに書きとりの練習を始める。夜、寝る直前にやって朝にもう一回確認したらちゃんと覚えてるあの瞬間が楽しすぎるのを知ってるから、それを信じてまずは10単語。(追記: 7つぐらい覚えてた。)

 


3月3日(日)

オリーブオイルをお裾分けでいただいたからアヒージョを作る。前に持ってたスキレットを錆びさせちゃって使われへんからフライパンでやってみると、サイズの問題で思ったより大量にオリーブオイル入れなあかんかった。この量の油摂取するんかと思いながらも、薄く切って焼いたフランスパンにつけて、好きなYouTube見てるうちに全部食べ切ってて、この間買っておいたボトルワインも半分まで減らした。

生産性のあることをなにもしないって決めて、こうやってほんまになにもしない時間をひとりでぼーっと過ごす気持ちよさ。ずっとあった、なにかに追い立てられるような感覚をやっと手放して、こういう時間の使い方ができるようになったんやなあと思う。

 

 

日記 2024年2月15日〜2月24日

 

15日

昨日の疲れもとれんまま一日中働いてくたくたやったけど、ぬか漬けをおいしく食べたいって気持ちだけで、帰ってご飯を炊いておかずや味噌汁を作れる。一昨日から仕込んでたモッツァレラチーズのぬか漬けが成功してて、帰ってきてよかったなあと思う。ぬか漬けのおかげで家に帰るのがうれしい理由がひとつ増えた。

 


16日

ネイルを新しいのに替えに行く。職場に申し訳程度に配慮した、見本のデザインよりもラメ減らし&パーツ小さめスタイル。サロンは決まってるけど、ネイリストさんはその日いる人でお願いしてて、わたしもあんまり話したくないタイプやからいつも最低限のこと以外は話さずにやってもらってる。

今日の人は3回目ぐらいの気がするけど、パーツちっちゃめとかできるのでって先に言ってくれて、わかってくれてるんやなと思う。そういうのもカルテに書いてあるんかなとは思うけど、流れで最近職場の人が減ったって話をしたときに、えっ更にですか!?って返ってきて、あ、前もこれ話したんやってこっちが思い出した。

それでなんか急に、この人信頼できるって感覚がして自分の中のコミュニケーションの扉が開いて、初めてネイリストさんと終わりまでずっといろいろ話してた。帰り際に、楽しかったですって自分の口から自然と出る。自分が仕事で接客する側になるとき、この感覚を知ってるだけでやり方も変わってくる気がする。

 

 

17日

1ヶ月以上前からずっと楽しみにしてた、焚き火の約束の日。去年通った短歌の教室で仲良くなって何回か遊んでもらってるお姉さん2人と、その友達の、絵や漫画を描いている子と、初めて4人で集まった。昼過ぎに焚き火のできる公園に集まって近くのホームセンターに買い出しに行って、15時くらいから火を焚き始める。みんな焚き火は初めてやったから試行錯誤しながら、1、2時間もしたら好きなタイミングで火を大きくするコツも掴んでくる。始めるまでは夜早めの時間に終わるかなとたぶんみんな思ってたのに、おつまみを作ったり芋を焼いたりお菓子を炙ったりしながら結局23時半の終電ギリギリまで火を燃やし続けてた。

この年になって店に飲み行く以外の遊びを見つけたことも、新しく出会った人と新しいことに一日かけて挑戦してゆっくり時間を過ごせたことも、ずっとなんか不思議な気分やった。帰りの電車に4人並んで座って、各々が自分の乗り換えの駅で降りていくたびにバイバイしながら、ビールを飲んでたからとは違うフワフワした気持ち。

 


18日

昨日の夜も風呂で2回洗ったのにまだ髪の毛が焚き火くさくて、朝も2回洗ってから出勤する。ちょっと鬱陶しいけど、昨日のうれしい名残。

数日前からStray Kidsにありえんぐらいハマってる。基本的にアイドルって存在が好きで広く浅くいろいろ聴くけど、ここまでの熱量で追いかけたくなったグループはひさしぶりな気がする。仕事の休憩のときにふと思い立って、待ち受けを一番好きなメンバーの写真にしてみる。いままでロック画面はずっとその月のカレンダー、ホーム画面はiPhoneの元から入ってるやつって決まってたからそこに好きな写真を置くって概念が抜けてたんやけど。仕事中にロック画面でちらっと時間確認するたびに、こんなに元気もらえることってあるんやと知る。

 

 

19日

ちょっと前に母にもらったポルトガルの石けんを開ける。パッケージを開けずに部屋においてるだけでずっとまわりを良い匂いにしてくれてたやつ。

花柄にちょっとした飾りがついた包装紙がめちゃくちゃかわいくて、置いとこうかなって一瞬思う。でもこういうものを置いてたところでどうにもならんくて、1年後とかになにこれ?ってなってゴミになるだけなのを思い出せて、すぐに捨てられた。

 

 

20日

ふと豚キムチの味付けを調べるといままで自分で作るときに調味料を入れすぎてたと気づく。どこでそう覚えたんかわからんけど、味覇入れたりコチュジャン入れたりしてた。見つけたレシピの通りに作ってみると、キムチと醤油だけでちゃんと味がついてる。

 


21日

十三の246でひさしぶりのスタジオ。住んでるやろって言われるぐらいここに缶詰の頃もあったけど、来るのはたぶん1年半以上ぶり。近くに知らんカフェみたいなんできててびっくりしたけど、スタジオのほうは通い詰めてただけあって、ひさしぶりやなっていうより、あ、これこれ〜って感じに普通の気分やった。Marshallにギターを挿して音を出すと、この感覚は忘れてたなあと思う。

 


22日

電話しながら深々とお辞儀してる人を見て面白いなと思ったけど、いざ自分が電話口で話すとわたしもめっちゃ頭下げてた。

 


23日

ここ最近変な天気続きでせっかくの休みやけどなんのやる気も起きず。とりあえずランドリーの乾燥機に持っていく用の洗濯だけ回して、一日だらだらする日と決めた。

YouTubeに上がってるStray Kidsのコンテンツを見てるとその他のこと全くなにもできんくなるの、好きなメンバーの一挙手一投足を見たいからっていうのもあるけど、シンプルに韓国語やからずっと画面の字幕を注視しとかなあかんくて、ながら作業ができへんからやと気付いた。あまりになにも手につかんので、家事とか、なにか進めたいことがあるときはアルバム曲を聴きこむ時間にすると決める。

 


24日

働きながらわたしがちょうど目を離してるタイミングで面白いことが起こってたらしい。大好きな先輩にそれを教えてもらいながら「前田さん見て〜って思った笑」って言われて、わたしがその先輩を好きなのと同じぐらい、わたしのことを好きでいてくれてる気がする。

 

 

日記 2024年2月8日〜2月14日

 

8日

インスタのストーリーに百貨店のバレンタインイベントで自分用に買ったチョコレートを載せると、おんなじやつ買ってるってDMが親友から来る。別に話題になってる目玉商品とかでもないし見た目も地味で、わたしがいろいろ見回った中でおいしそうって思ったから選んだやつ。何十店舗も出てた中からその店を選んで、さらに何種類もあるチョコレートのうちから同じのを選ぶ確率ってどんぐらいかわからんけど、やっぱり友達すぎる。

 


9日

用事があって大学時代の軽音サークルの友達2人と電話で話す。ひとりが熱狂的なチャットモンチーファンで、その子に名曲たちを教えられながら3人で何回もチャットモンチーのコピバンをやった。昔あの曲もやったなこれもやったなって話してて、なんとなく各々その曲たちを聴きかえしたり歌詞を見たりする時間があったんやけど、なんかあの18、19のガキすぎる頃に歌ってたえっちゃんの歌詞、絶対わたし意味わかってなかったわって言ったら2人とも笑ってた。

2016年リリースのmajority bluesをあの最近の曲なって言ったり、あの時スタジオで合わせた8cmのピンヒール良かったんよなーって話が2020年のことやったり、わたしら年いきすぎてない?って何回かなったけど、出会って7年以上経ったいまも、曲と一緒にわたしらだけの記憶があるのはやっぱりうれしい。

 


10日

2年くらいずっと家でぬか漬けやりたいなってなんとなく思ってたのを、昨日ついに思い立って無印のぬか床を買ってきて、きゅうりと大根とにんじんをつけておいた。夜に野菜たちをぬか床から取り出すと、めっちゃいい感じ。にんじんはちょっと硬くてあと一日つけてもいいなと思ったけど、他はわたしの好きな酸っぱめの漬物に仕上がってた。

これから水分でゆるくなったり味が変わったりしていくのを、水気を拭いたり塩を足したりちょいちょい世話していったら、わたしだけのぬか床に育っていくらしい。しかも混ぜるのは多少さぼっても大丈夫。

植物を育てたり、革の手帳カバーの経年変化とか、自分だけで作り上げるっていう特別感があるものはやっぱり良い。そこまでの手間かからんこと限定やけど。自分のペースに合うものが他にもあればやりたい。

 

 

11日

職場の先輩が「あのカレー色の布巾って、」って言ったから、茶色のやつなんかあったっけ?と思って先輩が指してるのを見たら、真っ黄色の布巾やった。

 


12日

母と兄と待ち合わせてちょっといいタイ料理を食べに行く。母とふたりではたまにあるけど、この3人で外食って今までなかったから変な感じ。そもそも兄とは性格も真逆で、仲悪いわけではないけど、たまに実家で顔合わせても別に話し込んだりもせんからなにが好きとかもあんまり知らん。今日もそんなに話すことないかもと思いながら店に向かう。

3人でテーブルを囲んで、いつもの如くわたしがひとりで喋りまくったあと話の流れで兄の近況を聞いてると、本人も、その周りの環境も、実家で一緒に住んでたころのイメージとちょっと違ってた。

めっちゃ当たり前やけど兄には兄の生活があって、変わっていってるんやなと気づく。口下手なところとかいろいろ適当に流したりできんところとか、家族やからこそちょっとしたことでイラついたり心配もするけど、わたしの見えてないところにちゃんと兄なりの生活の回し方や悩みや楽しみがあるのが見えて、なんか安心した。

 


13日

昨日はタイ料理のあと、兄は飲まんから母とふたりで2軒目に、そのあと夜中の2時くらいまでバンドやってた頃にCDの流通なんかでお世話になった大好きな人たちと久しぶりに飲んで楽しい夜やった。

で、それとの落差もあって今日は朝から悲しい日。実は昨日の昼間に仕事にも関係あるやらかしがあって朝から社長に本気の平謝りして、まあしゃーないことやから、って別に怒られはせんかったけど、さすがにちょっと落ち込んでた。

一緒に出勤やった先輩が励ましてくれて、昼休憩の終わりにバレンタイン限定のかわいいパッケージのブラウニーを買ってきてくれる。

職場の近くのソフトクリームの割引券もくれて食べてきていいよって言ってくれて、まだ出会って1年も経ってないのにわたしの励まし方わかられすぎてるし、優しさが沁みて普通に泣きそうやった。

結局やらかしのほうも夕方には解決したから、やっぱりわたしってラッキーすぎなってすぐ調子乗りそうになったけど、先輩に二度と心配かけんように気を引き締めていこうと思い直した。

 


14日

バレンタイン。なんか入社史上最高に忙しい日で一日中走り回って、歩くのもしんどいぐらいのボロ雑巾になりながら帰路に着く。こういう日はほんまは外で飲んで帰りたいけど、今日の夜食べる用に、昨日のうちからモロゾフのバレンタイン限定のチョコプリンを冷蔵庫に冷やしておいたから直帰できた。

最近は飲み代を節約したいときに、飲み代よりも安くて、でもちょっとうれしいものを家に用意しておくっていうのをやってて、このやり方はわたしには合ってるなと思う。

自分の中での優先順位とか、どのラインまでの喜びとかポジティブな感情があったらそこに向かって動けるかみたいなことがわかり始めてから、頭で考えた理想に身体を着いていかせるのがうまくなってきた気がする。

 

 

日記 2024年2月1日〜2月7日

 

1日

前日の21時くらいから、音楽をやってた頃からのバンドマンの友達と飲み始めた。1月31日が応募締め切りの短歌の賞レースがあって、提出・応募系を早めに出せたことないわたしとしてはいつものことながら、ギリギリに仕上げてなんとか最終日に応募した。今年度はそこに自分の大きい目標を置いてたから、その開放感もあって夜中の2時くらいにはなかなかのご機嫌やった。なんとなくその話をしてて、出したばっかりの30首連作を見せると、これは初めて触れる芸術やけど…って言いながら、まあまあ酔ってるはずやのにしっかり3周も読んでくれる。昔よりは流行ってるらしいとはいえ短歌って親しみやすさで言えばそんなにやと思うのに、当たり前に向き合ってくれたことも、芸術って言葉をさらっと選べるところにも、創作を通して表現する人間としての心意気を感じた。


まあまあの二日酔いで何回か二度寝しながら昼過ぎに起きて、夕方からは親友の実家で鍋会。中学1年生からもう13年くらいの付き合いで、パパもママもいつもほんまの娘みたいに可愛がってくれるから、わたしも安心して甘えさせてもらってる。誰か人と会った時、ママがいつも、この子はわたしの外の娘!って紹介してくれる度に、家族のみんなが当然のように今日は泊まっていかんの?って聞いてくれる度に、こんな存在が自分の家族以外にいる心強さで心が一回り守られるみたいな感覚がする。

友達とふたりで夕方の4時半ぐらいからビールを飲み始める。鍋を始める前にもママがどんどん料理出してくれるから、鍋まで辿り着かんかも、言うて絶対食べるけどな、って話しながら、続々帰ってくる家族と、ママの知り合いの人たちと合流して、お腹はち切れる寸前の寸前まで食べて飲んだ。

 


2日

少し前に旅先の本屋さんで買ってきたエッセイを読む。読んで、こんなに共感も納得もできんかったのが初めてで、ちょっとショック。だいたいエッセイって作者の目の前の現実に対する素直な心の動きを辿っていくから、自分の考え方とは全然違っててもウンウン、そう思うのねってするっと読めるねんけど。なにがショックやったかっていうと、その本がネガティブな心の動きを題材にしてて、作中で書かれるそこへの向き合い方や周りで支えてくれる人たちに対しての姿勢がかなりわたしのやり方とは違って、それはいいねんけど、自分がそれをまあそういう人もおるよね、で流せんかったのがしんどかった。

自分でもびっくりしたけど、途中、イラッ!!!!と来てしまって衝動的に本閉じて深呼吸したタイミングがあって、意地で最後まで読んだけど、結局モヤモヤを残したまま終わったし、それを抱えたまま一日を過ごした。

今回のことは、もともとその作者の名前も、もちろん人となりも知らんからってのもあったかもやけど。すべての人を好きでいることはほぼ不可能なんは当たり前やけど、でもそこに至るまでの考えの道筋を丁寧に見せてもらっても尚こういう相容れなさを感じることってあるんやなと思った。なんか自分って思ってるより意地悪なんかな?とかも思った。でも、もう意地悪覚悟で言うなら、わたしは真実風とか誠実風の裏に打算を感じる文章は好きじゃない。

 


3日

節分。昔はそんなに気にしてなかったしなんならしょーもなと思ってたけど、この歳になって、こういう季節の行事をやることで自分の中での月日の区切りを持てたり、手軽な非日常として自分の心が動くちょっとした山場を生活の中に作れるおもしろさがわかる。仕事終わりに恵方巻きを求めて近所のちょっと良い方のスーパーへ入る。入り口近くの恵方巻きコーナーを覗いてると、カゴにとってた恵方巻きを戻しに来る人が何人かいる。ピンときて、その人たちについて鮮魚コーナーに行ったら、案の定20〜40%オフの海鮮恵方巻きのコーナーが出来てた。

 


4日

朝から気持ちがなんとなくザワザワする日で、明日休みやしなと仕事終わりに行きつけの餃子屋さんに飲みに行く。カウンターの隣に座ってた同じくひとりで飲みにきてたふたつ上のお姉さんとふわっと話し出して、最終的には手握りあって爆笑するぐらいに意気投合して、そのまま閉店まで4時間ぐらい喋り続けた末に、元々お姉さんの知り合いやったらしい店員のお兄さんと3人で2軒目に。元々ひとりで軽く飲んで10時ぐらいには帰ろうと思ってたのに、飲み過ぎのご機嫌で解散したのは結局夜中の2時ぐらい。

今日ずっと気分が落ち着いてなかった理由は自分でもほんまはわかってて、いつも同じことで引っかかってるくだらんことやねんけどちょっとひとりで抱えるのは疲れるなと思ってた。でもこういう時にふいに触れ合う人と気持ちが和らぐ時間を過ごすタイミングが来るのは、なんかわたしの巡り合わせってうまくできてるなあと思う。

 


5日

ちょっと二日酔い。立ち仕事を初めて半年とちょっと、あんまりに全身が痛すぎるから近所のめちゃくちゃ評判がいいマッサージの店の予約をしてみた。飲み屋街にある雑居ビルの階段を上がって、扉を開け切らんうちに中国人のおばちゃんが「前田さーんいらっしゃーーーい!!!!」ってでかすぎる声と愛想で出迎えてくれた。

小部屋のベッドにうつぶせで寝転んでマッサージされるあいだ、おばちゃんとなんやかんやとしゃべりながら、でも20分ぐらい経つとわたしも眠くなってくるしおばちゃんも真剣になってきて、中華風の音楽が流れる空間で無言になる。外の音も聞こえんうつぶせの真っ暗な視界で、おばちゃんの手の感覚だけが背中にあって、ふだん頭に隙間ができると考えちゃうようないらんしんどさも入ってこんような無の時間がしばらくあった。

評判通りおばちゃんめちゃくちゃうまくて、足腰が楽になったのはもちろんやけど、普段なかなか作ろうと思ってもできへんそういう無心の瞬間があったのがいちばん嬉しかった。


ネイルをしてもらう時とか、昔お腹が痛いときによく母に手を当ててもらってたことにも通じるけど、身体的にも精神的にも、人に自分の身体を預けて触れてもらうことで和らぐものって実際にあるなと思う。

 


6日

夜、ちゃんとご飯作る気が起きんときにはハイパー辛ラーメンと呼んでるものを食べる。袋の辛ラーメンを茹でるときに、冷蔵庫にある肉とか野菜とかキノコを何種類か適当に切ったりちぎったりして放り込んで、鍋みたいな、チゲみたいな感じにしたやつ。なんか栄養を補える気がする。今日はさらにやる気がなくて、薄切りの豚バラともやししか入れんかったから、スーパー辛ラーメンやった。

 


7日

欲しいと思ったものに躊躇いなくお金を使ってしまって、正社員として働き出してからも、その性質も貯蓄もそんなに変わらず。さすがに節約しようと思って、最近はお金の使い道として、飲み代とかいい食材とかの消えるものよりも、本とか音楽とか、自分の人生における財産になったり形に残るものを基本的には優先にしようと決めた。で、今日は気づいたら百貨店のバレンタインチョコレートのイベントを覗きに行ってて、自分が食べる用のチョコレートにかなりの金額使ってた。季節を味わうためのものには金使っていいっていうルールのゆとり部分を無くさん限り貯金は無理な気がする。

 

 

日記 2023年10月22日〜10月31日

 

 

22日

短歌教室で知り合ったお姉さんたち2人と初めて遊ぶ日。1ヶ月くらい前に予定を合わせていよいよ、という感じやった。この歳で新しいコミュニティに新しい繋がりができることにわくわくしながらLINEでやりとりしつつ、みんなビールが好きってわかってクラフトビールの店で集合することになった。教室ではみんな前を向いて講座を受けて、他の人の顔をよくよく見ることもなかったから、お互いなんとなく雰囲気だけ知ってるような状態で店に向かう。

到着はわたしが一番遅くて、店に入ったときにふたりがこっちを振り向いて手を振ってくれた瞬間の、この人があの文章を書いてたのね!っていう文面と顔が一致した感激と、いまから新しく友達関係を築こうとしてるんやっていうちょっと照れるけどめっちゃうれしいあの感じ。

 

 

 

23日

なんとなくイヤホンを外して近所のスーパーで買い物をして、サッカー台で荷物を詰めてると、天井のスピーカーからド派手でイケてるジャズが流れてるのに気がつく。ローカルスーパーには似つかわしくないサウンドにちょっと笑っちゃったぐらい。肉のパックを入れる手を止めてすかさずShazamすると、カルメラってバンドのアルバムらしい。Apple Musicのライブラリに追加して夜までずっと聴いてた。

ひとりのときは基本ずっとイヤホンをしたままで、人との会話のときだけちょっと外して、終わればまたつけるってことが多いけど、たまに街の音を聴くようにするとこういういい出会いがあったりする。

 

 

 

24日

仕事の帰りの電車で立ってると、目の前の席のおじさんがスマホでアイドルか何かの音ゲーを一心不乱にやってる。うまい。あれってやってる本人はあんまり気づかんのかもやけど、指がディスプレイを叩く音が結構響き渡ってて、はたから見ててもなかなかおもしろい。

高校の頃、クラスでラブライブ!音ゲーが2年間くらい爆発的に流行った。中高一貫かつオープンな雰囲気の女子校特有のものか、オタクもギャルも等しくハマった。わたしみたいなガチ勢のオタク側が、派手なグループの子たちの携帯でウルトラハードモードをプレイしてポイントを稼いであげたり、ガチャの引きが強いギャルにわたしのガチャのボタンを代わりに押してもらったりして、イベントがあればみんなで走りまくり、成果を報告しあい、グループの分け隔てなくひとつのものをうっすら共有してる不思議な空気感があった。なんとなくそんなことを思い出す。

 

 

 

25日

親友とそのお母さんは植物に詳しくて、ふたりと一緒に観葉植物を選びに行ったり、うちの植物のことで困ったことがあれば教えてもらったりする。

うちの窓際には親友の実家から分けてもらったウスネオイデスが1束垂れ下がっていて、夜、布団に入る前に霧吹きで水をやった。霧吹きをするたびに、この子は夜に水を吸うから、寝る前とかにちょっとかけてあげるといいよーと教えてくれたことを思い出す。

 

 

 

26日

近所にお気に入りのカフェができて、最近はちょっと集中して作業したいときは大抵そこに行く。店長とも顔見知りになってきて、いらっしゃいませ、じゃなくて、こんにちは〜と言ってくれるのがうれしい。ホットの中煎りを頼んだら、今日の中煎りの豆ちょっと酸っぱい感じの独特なやつやけど大丈夫ですか?と訊かれる。一瞬悩むと、豆の入った瓶の蓋を開けてこっちに差し出して、匂いを嗅がせてくれる。

 

 

 

27日

御堂筋線で心斎橋に向かってると、隣に立ってたサラリーマン風のおじさんたち5、6人の会話がなんとなく耳に入る。いまから飲みに行くのにどこらへんで降りるかを相談してるらしい。本町かどこかに行ったことがあるというひとりのおじさんの、あのへん広くて新しくて安い店がいっぱいあってね、って言葉が聞こえて、わたしはよく狭くて汚くて安い店を良いなと思っちゃうけど、広くて新しくて安いのは、当たり前にやっぱ良いよなあと思う。自分の中でせま汚ない店の神格化みたいなんってちょっとあるし、広くて綺麗な店が溢れる中でのある種の逆張り精神も含まれてる気がする。

 

 

 

28日

最近ルセラフィムにはまってYouTubeで関連動画を漁りまくってる。自分の夢のために寝る時間とかいろんなもの削って練習したり身体の管理したり、ものすごい努力を見せつけられる。それで、世の中にこんなに頑張ってる子達がいるならわたしにもできるはず、って気持ちで自分のやるべき行動を起こせたり、アイドルという存在はすごい。

ここ数日はそういうポジティブな力をもらってバリバリとタスクをこなしてたけど、今日は普通に可愛すぎてかっこ良すぎて、仕事から帰って寝る前までの4時間ぐらい一瞬も途切れることなくYouTubeでずっとルセラを見てしまった。マジでやることなにひとつやってない。こーいうこともある。良すぎて。

 

 

 

29日

明日の朝食べる用と昼の弁当に持っていく用で梨を剥く。職場のお姉さんが、ふるさと納税で山ほど貰ったから手伝って、ってわけてくれたやつ。ものをわけるときに「手伝って」って言葉を使う人は優しいなーと思う。

果物ナイフを進めながら、明日のため、自分のためのこういう一手間に時間を使えるようになったのにしみじみ成長を感じる。剥き終わった梨を一口サイズにカットしながら、水々しいシャリシャリの感触がうれしくて、歯磨きの後やけど何切れか食べた。

 

 

 

30日

社長が店に来て、しばらく雑談。事業の大小関係なく、社長っていう立場で働いてきた人として、やっぱりその人なりの流儀というか、仕事との向き合い方も当然わたしなんかとは全然違うところにある。柔らかい言葉で、たぶんこっちの感覚に合わせて話してくれるから、なんかわたしも同じ社会人でございますので、みたいな顔して話せてるけど、いろんな背景を想像すると当たり前にもうわたしなんかペーペーのミソカス。勉強させてもらうことしかなくて、ありがたい。

働くことのなんたるかを考える。大学時代やバンドのコミュニティで同じ青春を過ごした人たちの中でも、東京に出たり海外やいろんな場所に転勤しながらバリバリ働いてる友達や先輩がたくさんいて、そういう人たちをすごいなあと尊敬しながら、自分はかなりのんびりやってる方やと思うし、なんか違う世界に行っちゃったんかなあと、寂しさと、もしかしたらちょっとした劣等感もどっかにあったんかも。

でも、のんびりやるのと、テキトーにやるのは違うよなあと思い直す。わたしなりの地面に足をつけてやっていきたい。

 

 

 

31日

18時前にいつもカフェを出たとき、ふともう今日を逃したら「くるりのえいが」を観に行けるタイミングがないことに気づいて、急いで電車に乗り込む。なんばで降りて、なんばパークスシネマに向かう。

遊ぶのも買い物も大体キタ周りやし、どうしてもって用事があるときしかミナミには行かんから、なんばパークスは初めてやった。ちょっと空も暗くなってきてる中で劇場までモールを通り抜けながら、広くて開放的な道で、植え込みの緑がそこら中にあって、明るいショーウィンドウがいっぱい並んでて、こんなにわくわくする場所あるんやったら早よ教えといてや!!と思う。思いがけんタイミングで自分の心がふわっと明るくなる場所に遭遇した。

こういう開放的な施設に来ると、なんか海外みたい!って思うのなんでやろ。またゆっくり見にきたい。

 

 

日記 2023年10月16日〜10月21日

 

 

16日

心斎橋でのボイトレの帰り道に松田聖子の「瑠璃色の地球」を聴く。夕方の三角公園の近く、カステラ屋さんのある甘い匂いの角を曲がりながら、なんとなく歌詞がいつもより耳に入る感じがする。

そういえば聖子ちゃんが妊娠中に歌った曲やったなあと思い出す。母になる聖子ちゃんなら、恋愛のときめきとか男女の云々よりも、もうひとつ大きなテーマを歌えると踏んだらしい松本隆の眼力。この曲での聖子ちゃんの歌が素晴らしいだけに、子どもを先に失くすことがどれほどのことやろうと心が押し潰されるみたいになる。

 

 

 

17日

家に帰りながらどうしてもタコスが食べたくなって、でも店に行く気分でもないから、じゃあ自分で作ろうと思い立つ。だいたい家にあるものでできそうと思ってスーパーでトルティーヤだけ買って帰る。調べたレシピに書いてあったタコミート用の挽肉は豚ロースで、レタスはキャベツで、ピザ用チーズはスライスチーズをちぎって代用して、トマトとパクチーを載せて包んだら、ちゃんと食べたかったタコスになった。

実家を出たのをきっかけに自分でちゃんと料理をし始めて2年と少し経って、もういちいちグラムや大さじ小さじも計らんし、味付けや手順もなんとなく自分のやり方みたいなものができてくる。味も見た目も、本やネットで見るような完璧にしようと気負わずに、だいたいこんな感じかな、で自分のためだけに料理をすること、それを食べることは、自分の暮らしを自分で回していってる感覚を確かめる作業にもなってる。

 

 

 

18日

夜中の1時半ごろゴロゴロしながら、もう寝ようかというところで友達から電話がかかってきて、いま近くにおるから始発まで飲もやって誘い。もうとっくにすっぴんなんやけど、と答えながら、着替えてちょっと粉だけ顔にはたいて家を出る。

所謂フッ軽と言われる由縁やけど、小春なら来るかもと思って連絡をくれた友達の期待にはめちゃくちゃ応えたい、みたいな変な使命感がずっとある。そのせいではちゃめちゃな酔い方して喧嘩したり、二日酔いと反省で次の日が丸一日だめになったりするんやけど。

でもこういう予期してなかった意味わからんタイミングで友達と会うと、あの時マジ意味わからんタイミングで会ったよな、みたいなそれ自体が思い出になったり、中身あるんかないんかわからん話をしながら夜が明けるのを一緒に待った時間が紛れもない自分たちだけの記憶になって、まあ実際のところその時間の記憶すら失くしたりしながらやけど、また代わりのきかん大事な存在になっていく感覚があったりする。

こういう夜の始まりに聴きたい音楽がなんとなく浮かばんくて、挿してたイヤホンを鞄に戻して、誰もおらん静かな道を友達2人のいる店までチャリンコでぶっ飛ばした。

 

 

 

19日

かなりギリギリの時間感覚で生きてて、今日は11時27分に家を出て駅まで走れば遅刻せずに出勤できる。おおかたの準備を終えた11時22分に、お腹が空いてるから冷凍チャーハンを温めようか悩む。これがわたしの時間の勘定のかなりおかしいところで、2分間チンして、2分で食べて1分で歯磨きしたらいけるな…と思って皿に出してしまった。

レンジに入れる前にふと、今わたしは家を出る5分前に冷凍チャーハンを溶かそうとしてる、と頭の中で文章に起こしてみたとき、え、絶対いけるわけないやんと我に帰った。

チャーハンをラップに包み直して冷凍庫に戻す。一日の中の一番急ぐタイミングで、ただチャーハンを袋から皿へ、皿からラップへ移す作業に3分とられただけになった。

 

 

 

20日

下北沢にある曽我部恵一レコード店PINK MOON RECORDSが10月末で閉店前するから、先週東京に行ったときに最後の買い物をしてきた。そのことをインスタに投稿すると、バンドの友達から、ここ閉まるんや、ってコメント。それにわたしが、曽我部さんが忙しすぎるらしいって返したのに対して、イケイケな理由でよかった、って返信がくる。うわあと思う。ほんまやん。

わたしは、ああ寂しいなあとばっかり感じてたけど、そうやんなあ、ただ前に進んでいってるだけやんなって気づかされて、なにか表面的には悲しい変化が起こったときのその捉え方はマジでイケてるな、とかなりグッときてしまった。真似したい。

 

 

 

21日

職場のお姉さんに「こないだから言おうと思ってたんですけど、」って急に言われて、え、なに怖い!!と思ったら、わたしのスーツのジャケットの裾から長い糸が飛び出てたらしい。しっぽ出てるから言ってあげないとと思いながら忘れてました、って笑いながらわたしの後ろに回って、はさみで切ってくれる。

 

 

日記 2023年10月8日〜10月15日

 

 

8日

やっと時間ができて、数日前に発売された本を買いにいく。岡野大嗣さんの歌集「うれしい近況」。いつもの書店のだいたいこの辺やろうとあたりをつけて一直線に向かった棚で、ばっちり目当ての表紙を見つけてちょっとうれしくなる。レジで本の入った紙袋を受け取って店を出ながら、さささと早足になるのがわかった。帰りの電車の来る時間は変わらんのに、と冷静に思いながらも、早足のまま改札を抜けた。

 

 

9日

夜行バスに乗って、新宿へ向かう。わたしは窓際の席で、通路側に同年代くらいの女の子。わたしがその子の後からバスに乗りこんだときも、SAでトイレに降りたときも、ちょっと前ごめんなさい…を数回やったけど、毎回嫌な顔もせずに席を立ってくれて、感じのいい子やなあと思う。

2回目の休憩はバスの止まってる場所からトイレまでがめちゃくちゃ遠くて迷いそうなSA。午前3時過ぎくらいの真っ暗な雨の中降りたのはわたしとその子だけで、お互い声は掛けんかったけど、バスからトイレまでの行きと帰りをなんとなくお互い迷わないように気にかけてる感じに一定の距離で歩いた。

朝6時前に到着した新宿で降りる準備をしてると、わたし、まだ東京まで乗るので、ってわざわざ声をかけてから席を立ってくれた。そうやって声をかけてくれたことになんとなく絆みたいな、心を許してくれたような、一瞬のつながりを感じて、わたしも、ありがとうございます、のあとにもう一回会釈をしてから降りる。

 

 

10日

新宿駅のホームで朝の電車を待つ。アナウンスで「今度の、12番線発の電車は…」と流れて、「つぎの、」じゃないんやなあと思う。調べてみると、関東での「こんど・つぎ」表記って、地域ネタの定番らしい。誰も気づいてないやろうと思ったのに。

 


11日

毎年の秋から冬あたりの恒例行事になってきてはや4年目、今年も胃腸炎になる。初の東京編。今回は昨日の夜にひさしぶりに会った友達や新しくできた友達と下北で朝まで飲んでた二日酔いとのダブルパンチで、気持ち悪さと腹痛がちょっとましな身体の角度を一回見つけたらしばらくそこから動かれんかった。

意識を逸らすために好きなYouTubeの動画を再生する。デカい音で全部を誤魔化したいけど、耳がしんどくなく受け入れられる限界の音量みたいなのがあって、かなり遠いところで大喜利のやりとりを聴く。

 


12日

友達が、たぶんこのバンド好きやと思うってAppleミュージックのスクリーンショットをラインで送ってきた。普段はお互い用事があるときにしか連絡せん友達が、その曲を見つけて、わたしを思い出して、わざわざ送ってくれたっていう出会い方をした時点で、好き嫌いとは別のところで、わたしにとっては意味のある音楽になる。

 


13日

さすがにTシャツで寝られる気温じゃなくなってきて、パジャマの長袖を解禁する。しばらくしまってた服特有の、引き出しのにおい。

カバーもかけずに出しっぱなしならわかるけど、ちゃんとしまってたものがちょっとほこりっぽくなるのは不思議やなあといつも思う。毎回気にはなるけど調べるほどでもなくて置いてることのひとつ。

 


14日

先月まで通っていた短歌の教室の課題を提出するのをすっかり忘れてた。

わたしにとっての短歌とは、の問いに答えながら、短歌を作る側の世界に飛び込んでみてよかったなとじんわり思う。日記や備忘録に近いように見えて実はそうじゃなくて、自分の五感と、世界と繋がっているすべての部分を研ぎ澄ませて、わたしだけの感じ方で心の動いた瞬間にまっすぐ向き合うための手段でもあり、向き合った結果でもある、みたいな感じ。

 

 

15日

職場のお姉さんとシフトのことを話してて、ちょっと先のことでも大事な予定あれば早めに言っておいたらいいよ、マネスキン見に行く日とか…って気にしてくれる。今年の12月のマネスキンのチケット当たったんですよね〜って数ヶ月も前にちらっと話しただけのことを覚えててくれてる。