備忘録 2022.1.17と『これからくる痛みについて』

 

昨日、一昨日と、岡山PEPPER LANDと福岡UTEROという2ヶ所のライブハウスで演奏をして、そのまま一晩福岡で過ごして昼ごろから車に乗り続けてさっきやっと大阪に帰ってきた

 

少しコロナが落ち着いた去年の夏以降で、東京や名古屋、広島に単発で行ったりはあったけど、数日間出突っ張りの遠征は去年の3月に自分達のリリースツアーが終わったぶりとかで、かなりひさしぶりのこの感じ

 

夜中に出発して朝まで移動して、移動の車内とネカフェでちょっと寝て、昼ごろに無理やり身体と脳みそを起こして会場入りしてリハして、音出したらちょっと目が覚めて、バタバタしてるうちにあっというまにライブも一日も終わって、また移動…

 

運転しないだけ幾分ましではあるけど、それでも身体は疲れていくのに反比例してどんどん気持ちは研ぎ澄まされて行くようなあの感じ、今回ライブは2日間だけやったけど、あ、そうそうこういうことをずっとわたしたちはやってきたんやと思い出した

 

 

今回は10年来の一番長い先輩、THE TOMBOYSのツアーの全公演に出演という形で6箇所をまわってる

 

わたしの彼女たちに対する並々ならぬ想いはもう散々各所で語り尽くしているのやけれど、こういう形で彼女たちと一緒にひとつのものを作り上げるというのは、わたしがバンドをやりながらずっと心の片隅にあり続けた目標であり、それがいま現実のものになっていっていることが不思議というか、この状況になってやっと自分の辿ってきた道のりをふと振り返ったような気持ちというか、一番近い言葉で言うと、今あるなにもかもの原点に立ち返ったような気がしてる

 

それはたぶんバンドを始めるきっかけになった人たちとはじめてここまで長い時間を一緒に過ごしているからということでもあり、このバンドの終わりの日を知っているからというのももちろん無関係ではないと思う

 

ツイッターにもそんなようなことを書いたけれども、福岡の夜のトムボウイズのライブが、わたしにとって言葉にできないくらいのもので、音楽を鳴らす、それもひとつのバンドという集まりで同じメンバーで音を鳴らすことの尊さを目の当たりにして、いまの自分の中のさまざまがグワングワンと揺さぶられた気がした

 

 

 

 

高速道路をずーっと走っていると、いろんなことを思う

あんなに明るい時間に出発したのに、大阪に近づくにつれてどんどん日が落ちていって、ふと微睡から覚めた17時頃にはびっくりするぐらいデカくて丸い月がずっと助手席の車窓から見えるところに浮かんでて、自分の書いた『月の光を見ている』という曲のことをぼーっと思い出して、今日のわたしにとっての月はトムボウイズでもあり、自分自身が積み重ねてきたものでもあるなあというようなことを考えた

 

それから去年のはじめに回ってた前のツアーで、めちゃくちゃ悔しいライブをした日の帰りの車内の葬式かと思うぐらい最悪すぎる雰囲気がはっきり胸に蘇ってきて改めてグヌヌ…となったり、

車内のスピーカーからスピッツが流れたときには、ロビンソンが似合う状況ランキング1位は、田舎から都会に旅立っていく友達を空港まで友達数人で見送りにいった帰りの車内や…みたいな話したな、とか

 

そういうようないろいろをずっと反芻して、ただわたしは、わたしたち自身の決断だけは決して疑わずにいないといけないということだけ、忘れたらあかんなと思った

 

わたしが選んだことを正解にするのはわたしでしかなくて、そのために、過去は変わらず温くて優しいけど、そこに浸るのじゃなくすべてを推進力に変えられる自分でいないとと、見慣れた大阪の街に入るころに強く思い直した

いつも叱ってくれる人がいてありがたいよ

 

 

助手席に座るとBGM担当という特権が得られるので、どうしてもチャットモンチーのCAT WALKが聴きたくなって流して、後ろのふたりが起きてたか寝てたか聴いてたかわからんけど、これはわたしたちの歌やった

こういう瞬間をわたしは後生大事に抱え持っていくんやという予感がした

 

 

 

 

家に着いたら、数日前にAmazonで頼んでいた電気こうたろうさんの『これからくる痛みについて』という短編漫画集がポストに届いていたので、荷物もそのままに一気に読んだ

 

短編集の最後に収録されている同タイトルの作品中のセリフ、

 

"はなればなれになったらこの日々はうそになるのかな"

"…このくらしが ふたりのくらしが無くなるのがこわいんだ"

 

に対しての答え、

 

"もしもふたりがふたりでいられなくなっても この日々はなくならないよ"

"いつかどこかで思い出したとき…きっとくるしくなるほど素敵な恋だから" 

 

わたしのやってきたことは恋とは違うけれど、なるほどこれが今の自分にとっての答えやなあと、3日ぶりの家の床で急に腑に落ちた

 

 

まだ終わらないこの暮らしの終わりを、悲しまないでいられたら、寂しく思わないでいられたらいいなーと、やはりそのためには何回でも気持ちを抱き直して、歌い直して、一日ずつ越えていくしかないね

残りのライブもいよいよ両手で数えられるほど

いま持っているものをいま歌えること、ここに絶対に意味があるはず 音楽をやっていろんな場所で見つけてきたものが光るはずや

 

ひとまず今晩はギターを弾くこととする

 

デカ丸い月、写真に撮ったら小さいけど

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