日記 2023年9月11日〜9月17日

 

11日

通勤用のカバンを探しに梅田を徘徊して、3時間くらい歩き回ったけどピンとくるのに出会えず。サイズはA4以上でマチのあるやつ、合皮は安っぽく見えてイヤ、色は黒とかの暗めで、自立する造りで予算に収まるもの、っていう条件、そんなに難しいかなあと苛立ちつつ、蔦屋書店に吸い込まれてカバンの予算から本を2冊買う。

それでもう気持ちが切れてしまって、中途半端なやつで妥協するなら諦めて帰ろうかと思った矢先、ふらっと通りがかったアーバンリサーチで見つけたのが、A4以上でマチがあって、柔らかい合皮で、嫌味っぽくないゴールドで、自立しないやつ。余裕の予算内。思ってた条件とはかなり違うけど、店の鏡に映るカバンを肩にかけた自分の姿がやけに自然で、いつも着てるスーツで持ってるのが想像できた。

こういう想定外があって手に入れたものって、その分もっと愛着が湧いたりする。値段やブランドの良し悪しじゃなく、手に取る度にちょっとうれしくなって、いまの暮らしに馴染むけどちょっと輝いてるものを持つ楽しさがわかってきた。

 

 

 

12日

とんでもない二日酔い。休みの日をこのまま寝て終えるのは悔しくて、とりあえず17時前になんとか家を出て近所のラーメン屋に行く。醤油ラーメンの到着を水を飲みながら待ってると店のはじっこのテレビでおじゃる丸が始まる。まったりまったりまったりな〜♪ってオープニングいつまでも変わってないんや、とぼーっと眺めてたら、カウンターの隣の隣に座ってた大学生ぐらいの男の子二人組が「オープニングまだ変わってないやん」って笑ってた。

 


13日

職場の先輩の海外旅行のお土産話を聞かせてもらう。3カ国を巡ったらしく、飛行機に11回も乗っておいしかった機内食のこと、気球から見た朝日の写真、現地のぼったくりがすごくてむかついた話、電車を乗り間違えてわけわからん街に着いたトラブル、古代遺跡の中に入った動画、入国審査が今は自動化されててスムーズだったとか、iPhoneのカメラロールを見せながら教えてくれた。

話しながら目を見てると、宝物みたいな思い出を大切にわけてくれてるのが伝わってきて、わたしまで胸がポカポカするみたいにうれしくなる。その気になればどこにでも行けるんやって事実だけで、自由になれる心があるのに気がついたからやと思う。

 


14日

別に見届けんくてもいいやと思って近所の焼き鳥屋に入ったけど、結局店で流れてた野球中継のラジオに阪神の優勝が決まるまで聴き入ってしまう。スポーツ然り、伝説的なバンドの復活然り、自分がどれくらい関心を持ってるかは置いといて、歴史的と言われる瞬間に立ち会うのは楽しい。何年後かにまた同じことが起こったときに、たぶん今日あのとき食べてたタレつくねのことを思い出す。あと、絶対に会計間違えられてて800円くらい余分に払った悔しさと。

 


15日

綺麗に化粧をしてしっかり髪をまとめた美容部員さんがお客さんと電話で話すあいだ、ずっと完璧な販売員の丁寧な言葉遣いやのに、そのときだけコテコテ大阪弁の「ありがとうございますう⤴︎」の憎めない響きが繰り返し聞こえてきた。

 


16日

短歌教室の帰り、いろんな人のいろんな情景や心の動きの洪水を3時間浴びたあとの不思議な高揚感を抱えて駅まで歩く。JR大阪駅の御堂筋口から3人でぴょんぴょん跳ねて踊りながら出てきた女子高生たちにびっくりしてよく見ると、わたしの母校の制服を着てる。ああ、それそれその感じ、ってほほえましく思い出す。

わたしが通ってた頃は、国際科が強くてみんなが好き勝手やるような校風の女子校やから、グローバルメスゴリラ学院と呼ばれてた。

 


17日

昨日は東京からひさしぶりに帰った友達と鳥貴族で軽く飲みながら話し込んで夜更かししちゃったけど、とりあえず10時ごろに起きる。最近よくある、予定のない休日。今日なにが起こるかわからんけど、わからんからこそ、ちゃんと服を選んで丁寧に化粧する時間は楽しい。時間をかけただけあってかわいく仕上がるから、出かけざるを得んくなるし、必ずなにかを起こすぞって気合いが入って、大抵なんやなんやおもしろい日になる。

気の向くままに自転車を走らせると本屋にたどり着く。フロアをひと通り巡ったあと、短歌教室で出会った方が「前田さんが好きそう」ってきのう教えてくれた歌集を、去年友人の結婚式のビンゴ大会でもらったギフト券で買った。これは思い出でもあるから然るべきときに、と取ってたギフト券やったけど、納得のいくうれしい使い道。