日記 2023年10月22日〜10月31日

 

 

22日

短歌教室で知り合ったお姉さんたち2人と初めて遊ぶ日。1ヶ月くらい前に予定を合わせていよいよ、という感じやった。この歳で新しいコミュニティに新しい繋がりができることにわくわくしながらLINEでやりとりしつつ、みんなビールが好きってわかってクラフトビールの店で集合することになった。教室ではみんな前を向いて講座を受けて、他の人の顔をよくよく見ることもなかったから、お互いなんとなく雰囲気だけ知ってるような状態で店に向かう。

到着はわたしが一番遅くて、店に入ったときにふたりがこっちを振り向いて手を振ってくれた瞬間の、この人があの文章を書いてたのね!っていう文面と顔が一致した感激と、いまから新しく友達関係を築こうとしてるんやっていうちょっと照れるけどめっちゃうれしいあの感じ。

 

 

 

23日

なんとなくイヤホンを外して近所のスーパーで買い物をして、サッカー台で荷物を詰めてると、天井のスピーカーからド派手でイケてるジャズが流れてるのに気がつく。ローカルスーパーには似つかわしくないサウンドにちょっと笑っちゃったぐらい。肉のパックを入れる手を止めてすかさずShazamすると、カルメラってバンドのアルバムらしい。Apple Musicのライブラリに追加して夜までずっと聴いてた。

ひとりのときは基本ずっとイヤホンをしたままで、人との会話のときだけちょっと外して、終わればまたつけるってことが多いけど、たまに街の音を聴くようにするとこういういい出会いがあったりする。

 

 

 

24日

仕事の帰りの電車で立ってると、目の前の席のおじさんがスマホでアイドルか何かの音ゲーを一心不乱にやってる。うまい。あれってやってる本人はあんまり気づかんのかもやけど、指がディスプレイを叩く音が結構響き渡ってて、はたから見ててもなかなかおもしろい。

高校の頃、クラスでラブライブ!音ゲーが2年間くらい爆発的に流行った。中高一貫かつオープンな雰囲気の女子校特有のものか、オタクもギャルも等しくハマった。わたしみたいなガチ勢のオタク側が、派手なグループの子たちの携帯でウルトラハードモードをプレイしてポイントを稼いであげたり、ガチャの引きが強いギャルにわたしのガチャのボタンを代わりに押してもらったりして、イベントがあればみんなで走りまくり、成果を報告しあい、グループの分け隔てなくひとつのものをうっすら共有してる不思議な空気感があった。なんとなくそんなことを思い出す。

 

 

 

25日

親友とそのお母さんは植物に詳しくて、ふたりと一緒に観葉植物を選びに行ったり、うちの植物のことで困ったことがあれば教えてもらったりする。

うちの窓際には親友の実家から分けてもらったウスネオイデスが1束垂れ下がっていて、夜、布団に入る前に霧吹きで水をやった。霧吹きをするたびに、この子は夜に水を吸うから、寝る前とかにちょっとかけてあげるといいよーと教えてくれたことを思い出す。

 

 

 

26日

近所にお気に入りのカフェができて、最近はちょっと集中して作業したいときは大抵そこに行く。店長とも顔見知りになってきて、いらっしゃいませ、じゃなくて、こんにちは〜と言ってくれるのがうれしい。ホットの中煎りを頼んだら、今日の中煎りの豆ちょっと酸っぱい感じの独特なやつやけど大丈夫ですか?と訊かれる。一瞬悩むと、豆の入った瓶の蓋を開けてこっちに差し出して、匂いを嗅がせてくれる。

 

 

 

27日

御堂筋線で心斎橋に向かってると、隣に立ってたサラリーマン風のおじさんたち5、6人の会話がなんとなく耳に入る。いまから飲みに行くのにどこらへんで降りるかを相談してるらしい。本町かどこかに行ったことがあるというひとりのおじさんの、あのへん広くて新しくて安い店がいっぱいあってね、って言葉が聞こえて、わたしはよく狭くて汚くて安い店を良いなと思っちゃうけど、広くて新しくて安いのは、当たり前にやっぱ良いよなあと思う。自分の中でせま汚ない店の神格化みたいなんってちょっとあるし、広くて綺麗な店が溢れる中でのある種の逆張り精神も含まれてる気がする。

 

 

 

28日

最近ルセラフィムにはまってYouTubeで関連動画を漁りまくってる。自分の夢のために寝る時間とかいろんなもの削って練習したり身体の管理したり、ものすごい努力を見せつけられる。それで、世の中にこんなに頑張ってる子達がいるならわたしにもできるはず、って気持ちで自分のやるべき行動を起こせたり、アイドルという存在はすごい。

ここ数日はそういうポジティブな力をもらってバリバリとタスクをこなしてたけど、今日は普通に可愛すぎてかっこ良すぎて、仕事から帰って寝る前までの4時間ぐらい一瞬も途切れることなくYouTubeでずっとルセラを見てしまった。マジでやることなにひとつやってない。こーいうこともある。良すぎて。

 

 

 

29日

明日の朝食べる用と昼の弁当に持っていく用で梨を剥く。職場のお姉さんが、ふるさと納税で山ほど貰ったから手伝って、ってわけてくれたやつ。ものをわけるときに「手伝って」って言葉を使う人は優しいなーと思う。

果物ナイフを進めながら、明日のため、自分のためのこういう一手間に時間を使えるようになったのにしみじみ成長を感じる。剥き終わった梨を一口サイズにカットしながら、水々しいシャリシャリの感触がうれしくて、歯磨きの後やけど何切れか食べた。

 

 

 

30日

社長が店に来て、しばらく雑談。事業の大小関係なく、社長っていう立場で働いてきた人として、やっぱりその人なりの流儀というか、仕事との向き合い方も当然わたしなんかとは全然違うところにある。柔らかい言葉で、たぶんこっちの感覚に合わせて話してくれるから、なんかわたしも同じ社会人でございますので、みたいな顔して話せてるけど、いろんな背景を想像すると当たり前にもうわたしなんかペーペーのミソカス。勉強させてもらうことしかなくて、ありがたい。

働くことのなんたるかを考える。大学時代やバンドのコミュニティで同じ青春を過ごした人たちの中でも、東京に出たり海外やいろんな場所に転勤しながらバリバリ働いてる友達や先輩がたくさんいて、そういう人たちをすごいなあと尊敬しながら、自分はかなりのんびりやってる方やと思うし、なんか違う世界に行っちゃったんかなあと、寂しさと、もしかしたらちょっとした劣等感もどっかにあったんかも。

でも、のんびりやるのと、テキトーにやるのは違うよなあと思い直す。わたしなりの地面に足をつけてやっていきたい。

 

 

 

31日

18時前にいつもカフェを出たとき、ふともう今日を逃したら「くるりのえいが」を観に行けるタイミングがないことに気づいて、急いで電車に乗り込む。なんばで降りて、なんばパークスシネマに向かう。

遊ぶのも買い物も大体キタ周りやし、どうしてもって用事があるときしかミナミには行かんから、なんばパークスは初めてやった。ちょっと空も暗くなってきてる中で劇場までモールを通り抜けながら、広くて開放的な道で、植え込みの緑がそこら中にあって、明るいショーウィンドウがいっぱい並んでて、こんなにわくわくする場所あるんやったら早よ教えといてや!!と思う。思いがけんタイミングで自分の心がふわっと明るくなる場所に遭遇した。

こういう開放的な施設に来ると、なんか海外みたい!って思うのなんでやろ。またゆっくり見にきたい。