日記 2024年2月1日〜2月7日

 

1日

前日の21時くらいから、音楽をやってた頃からのバンドマンの友達と飲み始めた。1月31日が応募締め切りの短歌の賞レースがあって、提出・応募系を早めに出せたことないわたしとしてはいつものことながら、ギリギリに仕上げてなんとか最終日に応募した。今年度はそこに自分の大きい目標を置いてたから、その開放感もあって夜中の2時くらいにはなかなかのご機嫌やった。なんとなくその話をしてて、出したばっかりの30首連作を見せると、これは初めて触れる芸術やけど…って言いながら、まあまあ酔ってるはずやのにしっかり3周も読んでくれる。昔よりは流行ってるらしいとはいえ短歌って親しみやすさで言えばそんなにやと思うのに、当たり前に向き合ってくれたことも、芸術って言葉をさらっと選べるところにも、創作を通して表現する人間としての心意気を感じた。


まあまあの二日酔いで何回か二度寝しながら昼過ぎに起きて、夕方からは親友の実家で鍋会。中学1年生からもう13年くらいの付き合いで、パパもママもいつもほんまの娘みたいに可愛がってくれるから、わたしも安心して甘えさせてもらってる。誰か人と会った時、ママがいつも、この子はわたしの外の娘!って紹介してくれる度に、家族のみんなが当然のように今日は泊まっていかんの?って聞いてくれる度に、こんな存在が自分の家族以外にいる心強さで心が一回り守られるみたいな感覚がする。

友達とふたりで夕方の4時半ぐらいからビールを飲み始める。鍋を始める前にもママがどんどん料理出してくれるから、鍋まで辿り着かんかも、言うて絶対食べるけどな、って話しながら、続々帰ってくる家族と、ママの知り合いの人たちと合流して、お腹はち切れる寸前の寸前まで食べて飲んだ。

 


2日

少し前に旅先の本屋さんで買ってきたエッセイを読む。読んで、こんなに共感も納得もできんかったのが初めてで、ちょっとショック。だいたいエッセイって作者の目の前の現実に対する素直な心の動きを辿っていくから、自分の考え方とは全然違っててもウンウン、そう思うのねってするっと読めるねんけど。なにがショックやったかっていうと、その本がネガティブな心の動きを題材にしてて、作中で書かれるそこへの向き合い方や周りで支えてくれる人たちに対しての姿勢がかなりわたしのやり方とは違って、それはいいねんけど、自分がそれをまあそういう人もおるよね、で流せんかったのがしんどかった。

自分でもびっくりしたけど、途中、イラッ!!!!と来てしまって衝動的に本閉じて深呼吸したタイミングがあって、意地で最後まで読んだけど、結局モヤモヤを残したまま終わったし、それを抱えたまま一日を過ごした。

今回のことは、もともとその作者の名前も、もちろん人となりも知らんからってのもあったかもやけど。すべての人を好きでいることはほぼ不可能なんは当たり前やけど、でもそこに至るまでの考えの道筋を丁寧に見せてもらっても尚こういう相容れなさを感じることってあるんやなと思った。なんか自分って思ってるより意地悪なんかな?とかも思った。でも、もう意地悪覚悟で言うなら、わたしは真実風とか誠実風の裏に打算を感じる文章は好きじゃない。

 


3日

節分。昔はそんなに気にしてなかったしなんならしょーもなと思ってたけど、この歳になって、こういう季節の行事をやることで自分の中での月日の区切りを持てたり、手軽な非日常として自分の心が動くちょっとした山場を生活の中に作れるおもしろさがわかる。仕事終わりに恵方巻きを求めて近所のちょっと良い方のスーパーへ入る。入り口近くの恵方巻きコーナーを覗いてると、カゴにとってた恵方巻きを戻しに来る人が何人かいる。ピンときて、その人たちについて鮮魚コーナーに行ったら、案の定20〜40%オフの海鮮恵方巻きのコーナーが出来てた。

 


4日

朝から気持ちがなんとなくザワザワする日で、明日休みやしなと仕事終わりに行きつけの餃子屋さんに飲みに行く。カウンターの隣に座ってた同じくひとりで飲みにきてたふたつ上のお姉さんとふわっと話し出して、最終的には手握りあって爆笑するぐらいに意気投合して、そのまま閉店まで4時間ぐらい喋り続けた末に、元々お姉さんの知り合いやったらしい店員のお兄さんと3人で2軒目に。元々ひとりで軽く飲んで10時ぐらいには帰ろうと思ってたのに、飲み過ぎのご機嫌で解散したのは結局夜中の2時ぐらい。

今日ずっと気分が落ち着いてなかった理由は自分でもほんまはわかってて、いつも同じことで引っかかってるくだらんことやねんけどちょっとひとりで抱えるのは疲れるなと思ってた。でもこういう時にふいに触れ合う人と気持ちが和らぐ時間を過ごすタイミングが来るのは、なんかわたしの巡り合わせってうまくできてるなあと思う。

 


5日

ちょっと二日酔い。立ち仕事を初めて半年とちょっと、あんまりに全身が痛すぎるから近所のめちゃくちゃ評判がいいマッサージの店の予約をしてみた。飲み屋街にある雑居ビルの階段を上がって、扉を開け切らんうちに中国人のおばちゃんが「前田さーんいらっしゃーーーい!!!!」ってでかすぎる声と愛想で出迎えてくれた。

小部屋のベッドにうつぶせで寝転んでマッサージされるあいだ、おばちゃんとなんやかんやとしゃべりながら、でも20分ぐらい経つとわたしも眠くなってくるしおばちゃんも真剣になってきて、中華風の音楽が流れる空間で無言になる。外の音も聞こえんうつぶせの真っ暗な視界で、おばちゃんの手の感覚だけが背中にあって、ふだん頭に隙間ができると考えちゃうようないらんしんどさも入ってこんような無の時間がしばらくあった。

評判通りおばちゃんめちゃくちゃうまくて、足腰が楽になったのはもちろんやけど、普段なかなか作ろうと思ってもできへんそういう無心の瞬間があったのがいちばん嬉しかった。


ネイルをしてもらう時とか、昔お腹が痛いときによく母に手を当ててもらってたことにも通じるけど、身体的にも精神的にも、人に自分の身体を預けて触れてもらうことで和らぐものって実際にあるなと思う。

 


6日

夜、ちゃんとご飯作る気が起きんときにはハイパー辛ラーメンと呼んでるものを食べる。袋の辛ラーメンを茹でるときに、冷蔵庫にある肉とか野菜とかキノコを何種類か適当に切ったりちぎったりして放り込んで、鍋みたいな、チゲみたいな感じにしたやつ。なんか栄養を補える気がする。今日はさらにやる気がなくて、薄切りの豚バラともやししか入れんかったから、スーパー辛ラーメンやった。

 


7日

欲しいと思ったものに躊躇いなくお金を使ってしまって、正社員として働き出してからも、その性質も貯蓄もそんなに変わらず。さすがに節約しようと思って、最近はお金の使い道として、飲み代とかいい食材とかの消えるものよりも、本とか音楽とか、自分の人生における財産になったり形に残るものを基本的には優先にしようと決めた。で、今日は気づいたら百貨店のバレンタインチョコレートのイベントを覗きに行ってて、自分が食べる用のチョコレートにかなりの金額使ってた。季節を味わうためのものには金使っていいっていうルールのゆとり部分を無くさん限り貯金は無理な気がする。