日記 2023年9月25日〜9月30日

 

 

25日

コピーバンドのイベントで、ひさしぶりのライブハウスの楽屋。まあまあ緊張してたけど、いざ入りしてみたら知ってる友達や先輩ばっかりでだいぶ助かった。楽屋でわたしがおにぎりを食べてたのをきっかけに、先輩と、年下の女の子と3人でおにぎりの具の話をする。俺は最悪この世から鮭以外なくなってもいける、とか、昆布好きなんシブ〜〜みたいなやつ。

天気の話が世間話レベル1やとして、こういうレベル2か3ぐらいのなんでもないことを膨らませて話す時間はなんかいいなあと思う。正直興味ない人に対してやったらすぐ終わらせられるような話題を、なにを求めるでもなくだらだら話すのって、わたしにとっては、あなたのことが好きですよ〜って意思表示が含まれてるからなんやと気づく。

 


26日

ひさしぶりに打ち上げに正式参加した代償の二日酔いで、一日ぼやっとしてた。最近の二日酔いの日は何故か近所の中華屋の麻婆天津飯を食べたくなる。米も卵も麻婆もアホかと思うほどの量で味も濃いけど、なんか二日酔いに効く気がする。

食べるたびに絶対思い出さずにおられへんのが、大阪大学豊中キャンパスの図書館下食堂の天津麻婆丼、通称テンマ。学食なんか大概たいしたことないけど、このメニューだけは謎の中毒性で根強いファンが学外にまでおるらしい。

テンマもちょっとどうかしてるぐらいの量でわたしは授業の合間とかに食べたら胃もたれすぎて話にならんかったからたまにしか頼まんかったけど、阪大生たちの御多分に洩れず、わたしにとっても大学時代を象徴するもののひとつ。

二日酔いの日なんかどうやってもスーパーバッド入ってるから、そうやって学生時代を思い出すものに触れると、今年25歳なにやってんねん…とかさらに落ち込んだりしつつも、食べ終わったらやっぱりちょっと復活する。あとやっぱテンマのがうまい。

 

 

 

27日

やっとスケジュールが合い、会社の先輩たちに歓迎会を開いていただいた。仕事を夕方で切り上げて、わたしリクエストの海鮮系の店で早々にビールと日本酒を飲み始めた。社長と、歳も関係も一番近いお姉さんと3人で行った2軒目でタコスとテキーラ、3軒目の薄暗おしゃれなバーでおいしいウイスキーを飲んだ。

自分が主役、夕方から飲める開放感、周りもお酒好きっていう最高かつ最悪な条件の揃い踏みで、案の定、記憶なし、PiTaPaなし、青あざあり。覚えてないけど、包み隠さずめちゃくちゃ喋ったしめちゃくちゃ話を聞いた気がする。飲みの席でだれと一緒でもすごい心を開いてしまうし最大値まで楽しむぞという意気込み、才能でもあるけど、いつかとんでもないことになりそうで怖い。めっちゃ楽しかった。

 


28日

うちはどんだけ二日酔いでも酒臭くても時間に出勤さえしてれば良い、という神託を社長直々に授かってたから、そこだけは安心感があった。ボロボロで起きてシャワーを浴びて申し訳程度に化粧をして、家を出る5分前に一発戻してからほぼゾンビで店にたどり着いて、なんとか開店した。今年の5月ごろには無職で毎日唸りながら未来を憂いてたのが信じられん。試用期間が無事終わり歓迎会まで開いていただいた状況の自分に生まれてる責任感に感動した。

午前中はお辞儀すると吐きそうやったから、たぶん3°ぐらいしか頭下げれてなかった。

お昼には同じくへろへろのお姉さんがわたしの分のヘパリーゼと一緒に出勤してきてくれて、ふたりで1時間ずつ交代しながら働いた。

飲みすぎるたびに、毎回こんなしんどさもう二度と味わいたくないと思うけど、悲しいことに、このどん底に一緒に沈んでる一体感で、お姉さんとは確実に絆が深まったのを感じた。こういうのを面白いと思ってしまう限りは、己の愚かさに向き合いつつ、やっぱりまた飲みに誘ってしまうと思う。

 


29日

髪が伸びた部分のくせがひどくなってきて、縮毛矯正とカットをしてもらいに美容室にいく。カットがひと通り終わってから、担当してくれてる店長が、ケトバシだけ代わりますね〜と言い残して去っていった。なに?と思ってるうちにアシスタントの女の子がドライヤーとブラシで身体や顔まわりについた髪をきれいに飛ばしてくれて、それが「毛飛ばし」やとわかった。

 

 

30日

3歳のころから家族ぐるみで付き合っている幼馴染と、そのお母さんと、うちの母との4人でイタリアンを食べに行った。母同士は年に数回集まってるみたいやけど、わたしと幼馴染はちゃんと会うのはたぶん3年ぶりぐらい。

こうやってお酒を飲めるようになるなんてね〜と、各々の近況や家族のことを話しながらご飯を食べたあと、母たちとは別れてふたりで2軒目に行った。

幼馴染と言っても同じなのは幼稚園と、小学校に入ってからの習い事のいくつかだけで、それ以降は違う道でそれぞれやってきた。いま出会ってたら友達になってたかな?と思うくらいに、性格や考え方も興味のあることも全然違う。

不思議な関係性やと思う。スイミング教室の待合でわたしが椅子から落ちて怪我した話や幼稚園で仲良く病気をもらった話、家で気に入ってやってたテレビゲームの話、何冊もやりとりした交換日記の話、半分ぐらいはお互い覚えてなかったけど、思い出話の中に、確かにわたしたちふたりだけが共有してる温度感がずっとあった。

家族とも、親友ともまた違う特別なところにいるのが言わずともわかって、この感じ、友達歴21年すぎるなあって言い合いながら終電のギリギリまで話した。

また秋ごろ飲みいこって約束してバイバイしたけど、でももし次がまた数年くらい空いたとしてもこの温度感は変わらんなって確信がある。そういう存在がひとりいてくれるだけで、特別になれる自分もいる気がする。